東京高等裁判所 昭和56年(ネ)420号 判決
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【判旨】
現行法制のもとにおいては、控訴人のいう大経師の職にある者が控訴人主張のような性質内容の「ふすま製作請負権」又は「ふすま製作契約締結権」を有し、ふすまの製作及び「自主請負」は大経師職、経師職又は表具師のみに許され、それ以外の者がこれを行うことは右の権利の侵害となると解すべき根拠は見出せず、大経師職、経師職又は表具師以外の者においてふすまの製作を請け負うことを許さない旨の法令が定められていないことに立法上の過誤があると解することもできない。被告らにおいて建設業法二条にいう建設工事及び同法四条にいう附帯工事にはふすま工事も含まれるとの解釈、運用をしたことにより、大経師職にある控訴人のふすま製作請負の受注量が仮に減少したとしても、これによる不利益は単なる事実上のものにすぎないのであつて、これをもつて控訴人のなんらかの権利又は法律上の利益が侵害されたものとすることはできない。また、同法二二条の定める一括下請負の禁止により控訴人がふすま製作を受注する上で利益を得ているところがあつても、それは反射的利益であるにとどまり、仮に、静岡県知事において同条違反の行為をする建設業者に対し同法二八条所定の監督上の措置をとらず、そのために控訴人のふすま製作請負の受注量が減少したとしても、控訴人の権利又は法律上の利益の侵害があるとはいえない。控訴人の権利又は法律上の利益が侵害されたことを前提とする違憲の主張は、その前提を欠き、建設業法二条二項が憲法一八条に違反し、労働基準法九条が憲法一四条に違反するとの控訴人の主張も、そのよつて立つ前提自体が独自の見解によるものであつて、いずれも失当である。
(小林信次 平田浩 河本誠之)